鉄道沿線へ撮影に出て列車を待っている間、様々なものが目に留まる。畦道に咲いたセイヨウタンポポなどはその筆頭と言っても良いかもしれない。
昨日訪れた北陸本線では農道と線路の境目でスタンバイしていたのだが、ちょうどその時の足元で力強く鮮やかに咲いていた。
酒好きにとってこの時期の楽しみといえば“ひやおろし”である。冬に出来上がったフレッシュな新酒を1度火入れしてひと夏の間寝かせ、ほどよく熟成したところで我々左党の元へと届けられる。
日本酒の面白さを語る切り口は様々ある。米の品種、磨きの割合、酵母の種類、醸し方など。しかし何よりも、同じ銘柄であっても季節によって違う味わいが楽しめる点が個人的には最も楽しい。何とも日本らしいではないか。
高島市は上原酒造の「不老泉」は、滋賀県で醸される酒の中で最も好きな銘柄の1つなので、これの“ひやおろし”となれば飲まないという選択肢など採り得るはずが無い。
米の旨味を感じさせながらもスッキリとしており、山廃ゆえの力強さがひやおろしでしか獲得し得ない丸みを帯びている。好きな味だ。
もちろん年によって味は違うので、来年はどんな表情を見せてくれるか、すでに今から大変に楽しみである。